固定電話が「電話線」ではなく「携帯の電波」で提供される制度づくりが、正式に動き出しました。総務省は2026年6月17日、モバイル網を使う固定電話をユニバーサルサービスに位置付けるための省令案を公表し、6月18日から7月17日まで意見募集を行っています。改正NTT法・電気通信事業法を受けた制度整備で、光回線やメタル線を維持しにくい地域でも固定電話が残せるようになります。この記事では制度の中身と、住まいの通信環境にどう関わるかを整理します(2026年7月時点の情報です)。

モバイル網固定電話とは

モバイル網固定電話とは、従来の電話線(メタル線)や光回線の代わりに、携帯電話のネットワークを使って提供される固定電話サービスのことです。宅内に置く専用の機器が近くの携帯基地局と通信し、これまでどおり固定電話機と固定電話番号で発着信できます。

ポイントは、電柱から家までの配線が不要になることです。人口の少ない地域では、わずかな利用者のために長いメタル線や光ファイバーを維持するコストが重くなっています。電波で置き換えられれば、設備の維持費を抑えながら固定電話という生活インフラを残せます。災害時の安否確認や、携帯を持たない高齢世帯の連絡手段として、固定電話番号を残す意味は今も小さくありません。

総務省は何をどう変えようとしているのか

今回の省令案は、モバイル網固定電話を「ユニバーサルサービス」に位置付けるための規定整備です。ユニバーサルサービスとは、固定電話のように全国どこでも公平・安定的に提供が確保されるべきサービスを指します。これまで固定電話のユニバーサルサービスは有線の電話網が前提でしたが、国会で成立した電気通信事業法の改正を受け、モバイル網経由の提供もその枠組みに入れられるようになります。

手続きとしては、2026年6月17日に省令案が公表され、6月18日から7月17日までe-Govで意見募集(パブリックコメント)が実施されています。意見募集の結果を踏まえて省令が確定し、制度が実際に動き出す流れです。背景には、NTT法の見直し(廃止ではなく改正)とあわせて、固定電話網の維持義務のあり方を実態に合わせて緩和・再設計する大きな流れがあります。

自分の固定電話はどうなるのか

多くの人にとって、固定電話がすぐ変わるわけではありません。この制度が主に想定しているのは、従来の電話網の維持が難しい地域です。対象となる地域では、電話線経由からモバイル網経由に切り替わる形で、固定電話番号と発着信が維持される方向です。

影響を最初に受けるのは、山間部や過疎地など、電話線の張り替えコストに利用者数が見合わなくなった地域の世帯です。こうした地域では、電話機はそのまま・番号もそのままで、家の外側の経路だけが電波に置き換わります。利用者側に大きな手続きが発生しない形で移行が設計されるのが、ユニバーサルサービスに位置付けることの意味です。

一方で、この動きは「通信インフラの主役が有線から無線に広がっていく」流れの象徴でもあります。固定電話ですら電波で提供される時代に、インターネット回線も「光回線一択」ではなくなりつつあります。実際、携帯網を固定用途に使うホームルーターはすでに全国で使われており、制度が後から実態を追認した形です。

光回線が引けない場所のネットはどう確保するのか

固定電話をモバイル網で残すのと同じ発想が、インターネットにもそのまま使えます。光回線の提供エリア外や、配線工事ができない住まいでは、4G/5Gのホームルーターが現実的な選択肢です。コンセントに挿すだけで自宅のWi-Fi環境を作れて、工事の立ち会いも撤去も要りません。固定電話とネットの両方を電波でまかなえば、配線に縛られない住まい方が現実になります。

ホームルーターはドコモhome 5G・SoftBank Air・WiMAX系の3陣営があり、スマホとのセット割で実質料金が変わります。選び方は光回線とホームルーターの比較工事不要インターネットの選び方で解説しています。自分の条件での実質料金は実質料金シミュレーターで比較できます。

この記事のまとめ

  • 総務省は2026年6月17日、モバイル網固定電話をユニバーサルサービスに位置付ける省令案を公表した
  • 意見募集は2026年6月18日〜7月17日。改正NTT法・電気通信事業法を受けた制度整備にあたる
  • 電話線の維持が難しい地域でも、携帯電話網経由で固定電話番号と発着信が維持される方向
  • 固定電話がすぐ変わる人は少ないが、通信インフラが有線から無線へ広がる象徴的な動き
  • 光回線が引けない住まいのインターネットは、同じ発想でホームルーターが現実的な選択肢